スジアオノリの安定共有を目指すために、 海洋深層水の「低水温性、富栄養性」に注目。

三島食品株式会社

室戸海洋資源開発センター

平川 規子

COMPANY INTERVIEW

深層水との出会い、きっかけ

2006年頃、吉野川の青のり出荷量が過去10年間で10分の1程度に激減し、当社の必要量が十分に確保できなくなるという事態に直面していました。
そこで、会社方針としてスジアオノリの安定供給を目指す取り組み、研究を開始しました。
調査を進める中で、海洋深層水の「低水温性、富栄養性」に注目し、この室戸市の陸上養殖施設にたどり着きました。
私自身、元々は海洋深層水は飲むものというイメージしか無かったのですが、調査の中で「水産利用の可能性」を感じたことを覚えています。
それから数年間研究ベースでの調査や試験を実施、その後、ご縁もあって2015年4月より室戸市の指定管理業者として当社が室戸海洋資源開発センターの運営を行っています。

自社商品へのこだわり

「深緑で細く、柔らかく、苦みのないもの」を商品の自社基準として設定し、陸上養殖の生産に取り組んでいます。
当社では、国産スジアオノリ100%使用の「青のり」をいくつかの規格で販売していますが、これらは生産地を限定したものではありません。
一方、「室戸の青のり」という商品は、100%室戸海洋深層水で陸上養殖した青のりだけを使用しています。当社の商品は、全て当社基準にこだわって製造していますが、中でもこの「室戸の青のり」は品質が安定しており、自信を持ってお届けしています。

日々、深層水を扱う中で感じること

やはり海洋深層水の持つ特徴は陸上養殖をする上で大きな恩恵をもたらしてくれています。
例えば、「安定した低水温」はスジアオノリが生長に適した水温域を保つことができる期間も長く、また夏場の安定供給を可能にしてくれます。通常の地下海水を用いた場合と比較すると、夏場でも、スジアオノリが生長しないとされる20℃を超えることはほぼありません。
また、「豊富なミネラルを含んでいる」ため、スジアオノリの生長に必要な栄養素は海洋深層水自体でかなり補われていると感じますし、出荷前の洗浄時に少量の海洋深層水を加えると真水で洗浄したものと比べて香りが引き立ちます。
海洋深層水の持つ「清浄性」も、製品化した際の細菌汚染のリスク軽減に繋がっています。

お客様の声を伺える機会があり、例えば室戸市内の飲食店様で「青のりの天ぷら」として提供していただいていますが、ありがたいことにご好評をいただき、嬉しく思います。

今後の展望

当社が室戸で海洋深層水を活用し、スジアオノリの陸上養殖を実施していることは、まだまだ室戸市内においてもあまり知られていないと感じることがあります。
室戸市のお土産と言えば「深層水青のり」と言われるよう、今後も色、香りなどの品質にこだわった生産を行っていきたいと思っています。
同時に、海洋深層水の陸上養殖における可能性もまだまだ感じていますので、しっかりと研究開発も続けていきたいと思います。