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株式会社けんかま
1990年代半ば、県内の小売り事業者と商品の共同開発を行うプロジェクトが持ち上がりました。
その時、商品の差別化を図るために海洋深層水に興味を持ったのが、私達と海洋深層水との出会いです。
当時を知る社員から話を伺いましたが、ちくわの製造に海洋深層水を使った際の相性は抜群だったそうです。これをきっかけに海洋深層水に可能性を感じ、継続的に自社商品で使うようになりました。
私達は、「目線は絶えずお客様の視点で!」ということを念頭に、お客様の「おいしかった」の言葉と笑顔をイメージした製品づくりにこだわっています。
これまで、特色ある商品でお客様に笑顔になってもらいたい、と地元の食材を使った蒲鉾、ちくわ、天ぷらなどを製造してきました。
地元須崎市の名産である「みょうが」をすり身と混ぜて揚げた天ぷら、高知県の方にはお馴染みの「すまき」など、おかげさまで長くご愛顧いただいている商品も多くあります。
その中で、海洋深層水を使ったちくわや天ぷらも、高知ならではの特色ある商品として、胸をはってお届けしています。
海洋深層水を使ったかまぼこや天ぷら、ちぎり天など多くの商品を開発してきましたが、やはりロングセラーである『深層水ちくわ』はお客様にご支持いただけていると実感しています。
海洋深層水がミネラルと無機栄養塩を多く含んでいるためか、味に深みが出て本当においしいです。
以前、メディアでも"高知ならではの食べ方"として取り上げられた「ちくきゅう」にもぴったりのサイズ感と味わいのちくわです。
海洋深層水を使うと、なんだか特別感がありますよね。
今後も特色ある商品づくりのため、いろいろな商品に海洋深層水を使っていきたいと考えています。
また、新商品の開発はもちろんのこと、様々な形で地域貢献を続けていきたいと思っています。
私たち「けんかま」は安心・安全なかまぼこやちくわを作り
続けていき、喜びと感動のある食品を作ることでお客さま
のご家庭に幸せをお届けします。
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株式会社浜幸
私が浜幸に入社したのは2002年(平成14年)からですが、
その前の2001年には既に海洋深層水を使った商品化には成功していました。
ですので、当社と海洋深層水との出会いについては、当時を知る者にも話を聞きながら紐解いていくことにします。
まず、ゼリーの製造において、果物の皮と砂糖を合わせて粉砕し、水に糖と皮の成分が溶け、味や香りが移る「糖移行」という工程があります。この糖移行に使う水を「果実有効成分抽出エキス」と言いますが、これが海洋深層水と他の水を使った場合で、明らかに差が出たんですね。
海洋深層水を使ったものは、味や風味がハッキリと”濃く”、美味しくなる。
この技術で特許も取得し、商品として販売開始しました。
当時は小夏のゼリーを販売していましたが、私が社長に就任して以降、オレンジや柚子など商品バリエーションを増やしていきました。
先代である父が社長であった頃は、果物の加工メーカーも無く、お菓子に使える果物が意外と高知県に少なかったそうです。
そのため、当時は、出荷されない(規格外の)果物はそのまま廃棄されるしかありませんでした。それを見て、「もったいない、農家の役に立てるようなことをしたい」と思うようになり、それなら自分たちで加工からやってみようと、菓子メーカーとしては思い切ったチャレンジを始めました。
このような素材を活かしていこうという姿勢と、海洋深層水がマッチしたことで、今の商品たちは生まれたと言えるでしょう。
当社のゼリーは、果汁をふんだんに使用していることと、海洋深層水の糖移行の良さもあって、香料や着色料は使っていません。また、消費期限を無理に伸ばさない分、季節で作業も違っており、ゼリーの製造・仕上げは主に春夏、秋冬は果物の仕込みをしています。これらは全て、素材を活かしておいしく届けるための工夫ですね。
消費者アンケート等では、果物の香りが良いといった声は多数いただけていますが、消費者の方には、海洋深層水の魅力はなかなか伝わりづらいのかもしれません。
しかしながら、ちゃんと「縁の下の力持ち」として、果物の香りを引き立てる重要な役割を担ってくれています。
一方、OEMの商品づくり等で同業の他社様とお話する時は、香りが引き立つ海洋深層水の魅力をしっかり推していっています。
先般、商品卸先の東北地方の会社さんから、「海洋深層水入り」を積極的にPRしたいというご相談もいただけ、海洋深層水の良さが伝わったからこそという実感を持てました。
海洋深層水は高知県(の室戸海洋深層水)に限らず、全国的にもっと周知されて欲しいと思っています。
私達は、お菓子作りにおいての海洋深層水の良さ(素材の旨味や香りが引き立つといった)の話はできますが、やはりその前段として海洋深層水そのものの価値がもっと正しく伝わって欲しいと思います。
そのためには、これからも海洋深層水の研究が進み、効果・効能が着実に証明されていくことが大切ではないでしょうか。
当社としては、海洋深層水にまだまだ可能性を感じているので、海洋深層水を使った商品開発は今後も検討していきたいと考えています。
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有限会社仙頭酒造場
2006年に私はこの会社に入りましたが、その頃には既に海洋深層水を使った商品が販売されていました。
海洋深層水を使った清酒を世界で最初に製造したのが弊社で、1995年のことと聞いています。販売当初は売れ行きも好調でしたが、私が入社した頃は海洋深層水のブームも下火になりつつあってか、当社の海洋深層水商品も伸び悩みの時期に差しかかっていた記憶があります。また、私も商品ラインアップの一つとして取り扱っているという感覚でした。
一方、数年前からは私自身も会社としても、お酒の原料の8割を占める「水」をもっと見直していこうと考えるようになりました。
それは、お酒造りにおける清酒酵母や麹菌がどんどん発達しているのに対し、製造過程で使う「水」がまだその流れに追いついていない気がしたからです。
海洋深層水は、その「水」の質を向上させる武器になるのではないか、と改めて考えるようになっています。
弊社の商品は「飲みやすさ」にこだわっていて、飲用耐性の面でストレスの少ない商品づくりを追求しています。
以前、県内の回転寿司店に食事に行った時の話なんですが、若いカップルが寿司と一緒にメロンソーダとカルピスチューハイを飲んでいたんですね。これを社長と見て「寿司というものをわかっていない」と断ずるのは簡単だけど、そのような考えをしていたら自分達の業界は廃れていく。ああいった方にも飲んでいただける物を作らないといけない」と話したことがありました。
弊社社長が女性であることも関係しているかもしれませんが、"ガツンとくる味わい"や"アルコールの度数の高さ"がお酒の強みとされがちな業界の中で、アルコール度数を必要以上にあげず、やさしい飲み口に仕上げています。そのためには、やはり原料の「水」は鍵になってきますので、こだわっていきたいと思っています。
醸造の現場を見ている自分の感覚ですが、海洋深層水を使うと発酵が安定し、味わいもばらつかないので扱いやすい原料だと感じています。おそらく、酵母菌などの微生物に良い作用が働いているんだと思います。
ただ、海洋深層水を使う上では弊社が取水地の室戸市から少し遠いのが悩みですね。
また、製造過程でどこまで海洋深層水を取り入れるかも難しい部分です。現在は主に仕込み水で使っていますが、例えば、(品質に影響があるかどうかは別として)洗米で使うお水から海洋深層水にこだわってみると、今の50倍位の海洋深層水が必要になるかな…とか。色々考えることもありますが、これも海洋深層水にポテンシャルがあると感じているからこそですね。
改めて「水」を見直す話に繋がりますが、弊社として品質の高い商品づくりを進めていくために、品質の高い原材料を使っていきたいと考えています。
そのためには、海洋深層水のイメージを全面に出している商品だけでなく、そうでない商品にも海洋深層水を自然と使っていけたらと考えています。
県内には、特徴のある酵母を使うなど、話題性に富んだ商品もあります。
そんな中でも、海洋深層水を使ったお酒は、お客様に伝わる良さがあると思いますし、またそれをしっかり活かしていきたいと考えています。
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株式会社ミューズ
当社と室戸海洋深層水の関係は長く、まずは前身の株式会社シュウ ウエムラ化粧品室戸工場ミューゼアムのスタートから遡って話をしたいと思います。
シュウウエムラ化粧品の高知県への企業進出は、当初は四万十川の水を使った化粧品を作るため幡多地域に決まりかけていたようです。
ただ、決まる直前に、オーナーであった植村氏が海洋深層水と出会ったことで、海洋深層水を使った化粧品を作ることに魅力を感じ、一気に室戸への進出が決まったと聞いています。
特に、海洋深層水の持つ保湿感、テクスチャーを植村氏は高く評価したそうです。
その後、1999年にこの事業所が竣工されましたが、私が入社したのはその1年半後でした。
働き始めて驚いたのは、連日、この工場へ多くのお客様が見学に訪れていたことです。
私自身が室戸出身だったからこそ、この工場や海洋深層水の取水施設が室戸に大きな変化をもたらしたのだと強く実感することができました。
同時に、シュウウエムラブランドで採用されたおかげで、海洋深層水の認知も広がっていったのではと思います。改めて、植村氏には先見の明があったと言えるのではないでしょうか。
その後、シュウウエムラ(ロレアル)から県へ建物が寄贈され、
株式会社ミューズが事業を行う形で再出発となった2016年から
私は社長を務めさせていただいています。
当社は、OEM商品を主体に製造していますので、自社商品ではなく「製造技術」をお取引先様からご評価いただくことで、事業が続けられています。
その製造技術の核を担うのが海洋深層水であり、化粧品の基礎となる「水」による差別化を可能にしてくれていると感じます。
遠隔地ではありながらも、取水の環境に恵まれているこの立地も、結果的に自社のモノづくりを支えてくれています。
当社のこだわりは、何よりこの「水へのこだわり」にあると言えるでしょう。
日々扱う中で感じること
上場企業様や大手企業様に当社製造の化粧品をご採用いただいていますが、継続して使い続けていただけていることは、やはり海洋深層水の凄さだと思っています。
お客様の消費行動としても、まずは化粧水でお試しいただいた方が、その後クリーム…といったように、どんどん色々な商品を使ってくださっています。やはり肌に合う「水」は、生物は海から進化してきたというので、海の水が一番合うのではないでしょうか(笑)
原料としての海洋深層水はもちろん、より海洋深層水を加工したモノの価値をもっと広めていきたいと考えています。
海洋深層水を使った化粧品やサプリメントは、業界の中でもっと存在感を発揮し、まだまだ周知していけると思います。
私見ですが、かつての海洋深層水ブームはイメージ先行のそれだったように感じます。
現在は、様々な研究やエビデンスも集まってきている訳ですから、以前とはまた違った形でブームが再燃できるよう、当社もその火付けに貢献するような気概を持ってモノづくりに取り組んでいきたいと思っています。
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三島食品株式会社
2006年頃、吉野川の青のり出荷量が過去10年間で10分の1程度に激減し、当社の必要量が十分に確保できなくなるという事態に直面していました。
そこで、会社方針としてスジアオノリの安定供給を目指す取り組み、研究を開始しました。
調査を進める中で、海洋深層水の「低水温性、富栄養性」に注目し、この室戸市の陸上養殖施設にたどり着きました。
私自身、元々は海洋深層水は飲むものというイメージしか無かったのですが、調査の中で「水産利用の可能性」を感じたことを覚えています。
それから数年間研究ベースでの調査や試験を実施、その後、ご縁もあって2015年4月より室戸市の指定管理業者として当社が室戸海洋資源開発センターの運営を行っています。
「深緑で細く、柔らかく、苦みのないもの」を商品の自社基準として設定し、陸上養殖の生産に取り組んでいます。
当社では、国産スジアオノリ100%使用の「青のり」をいくつかの規格で販売していますが、これらは生産地を限定したものではありません。
一方、「室戸の青のり」という商品は、100%室戸海洋深層水で陸上養殖した青のりだけを使用しています。当社の商品は、全て当社基準にこだわって製造していますが、中でもこの「室戸の青のり」は品質が安定しており、自信を持ってお届けしています。
やはり海洋深層水の持つ特徴は陸上養殖をする上で大きな恩恵をもたらしてくれています。
例えば、「安定した低水温」はスジアオノリが生長に適した水温域を保つことができる期間も長く、また夏場の安定供給を可能にしてくれます。通常の地下海水を用いた場合と比較すると、夏場でも、スジアオノリが生長しないとされる20℃を超えることはほぼありません。
また、「豊富なミネラルを含んでいる」ため、スジアオノリの生長に必要な栄養素は海洋深層水自体でかなり補われていると感じますし、出荷前の洗浄時に少量の海洋深層水を加えると真水で洗浄したものと比べて香りが引き立ちます。
海洋深層水の持つ「清浄性」も、製品化した際の細菌汚染のリスク軽減に繋がっています。
お客様の声を伺える機会があり、例えば室戸市内の飲食店様で「青のりの天ぷら」として提供していただいていますが、ありがたいことにご好評をいただき、嬉しく思います。
当社が室戸で海洋深層水を活用し、スジアオノリの陸上養殖を実施していることは、まだまだ室戸市内においてもあまり知られていないと感じることがあります。
室戸市のお土産と言えば「深層水青のり」と言われるよう、今後も色、香りなどの品質にこだわった生産を行っていきたいと思っています。
同時に、海洋深層水の陸上養殖における可能性もまだまだ感じていますので、しっかりと研究開発も続けていきたいと思います。
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室戸海洋深層水株式会社
元々安芸市内で勤めていたのですが、2000年に当時の社長に誘われ、新しい飲料水商品の立ち上げに関わることになったのが深層水との出会いでした。
元々、(商品の立ち上げが軌道に乗るであろう)3年後位には会社を去ることになるかと勝手に想像していましたが、2003年には高知工科大学と産官学で共同研究を進めることとなり、結果会社に留まることに。
それからは、現在の主力商品にも繋がる深層水由来の"塩"や"にがり"を開発へ向けて進むことになりました。
2010年に社長を引き継ぎ、現在も走り続けています。
2003年から進めてきた研究開発は、12年の時を経て、遂に実を結びます。
2015年、深層水のミネラルを残しつつ大幅なエネルギー削減を可能にした「製塩システムの導入」に成功しました。
同時に2017年に"省エネ大賞資源エネルギー庁長官賞"を受賞したことも、大きな喜びです。
思い起こせば、多くの紆余曲折がありましたが、他社にないモノづくりをしたいという一心で取り組んだ結果、そのシステムにより、当社自慢の"にがり"商品が出来ました。
この"にがり"は、カルシウムをはじめ豊富なミネラル成分を保っており、他社に簡単に真似できない独自の商品で全国初めて健康食品の特許権を3件取得しています。
長年にわたり向き合ってきた深層水ですが、その可能性はまだまだあると思っていますし、自社が扱う"にがり"にも様々な商品展開への可能性が拡がっていると日々感じます。
特に、健康食品や醗酵食品への利用は多くの商品への波及効果が高く、注力している分野の一つです。
近年では四国経済産業局の支援も受けて、県内にとどまらず、大手食品メーカーなどにも取り扱いを広げ、深層水由来の"にがり"を全国に拡げるべく邁進しています。
当社所在地の室戸市は過疎化が進んでおり、今後は雇用創出などを通じて課題に貢献できればと思います。
まずは現在の社員の雇用をしっかり守ること、そして自社の事業拡大を続けることで、その先に雇用創出も見えてくると思います。
当社は研究開発型の企業。企業は研究に投資を続けないといけないし、止まったら終わりだと思っています。また、海洋深層水は貴重な資源で、これを大切に活用していかなければなりません。
「地域資源を守り、社員の幸福を守る。」そのために商品開発と販路拡大を続け、会社としての知名度も上げていきたい…、その先に地域課題への貢献も見えてくると考えています。
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赤穂化成株式会社
室戸海洋深層水との出会いは『塩の自由化に備え、新たな原料を探しているとき』でした。
平成に入って以降、塩の自由化が国会でずっと審議されていました。自由化されれば海外から安価な塩が入ってきます。対抗するために、「次の新しい塩作りをどうするか」、「安全、安心な、環境汚染のないところで塩づくりができないか」、会社として模索していました。
そんな中、1995年の1月頃、たまたま雑誌で高知県海洋深層水研究所の記事を目にした社長が閃いたのが「この深層水で塩が作れないか!?」ということでした。早速訪れた研究所で、「途方もない年月をかけて流れてきた深海の海流が、室戸沖で湧昇している」というロマンに満ちた話を聞いた社長が大きな感動を覚えたこともあり、当社での商品開発研究は始まりました。その後、2002(平成14)年に塩は自由化されましたが、当社は海洋深層水との出会いのおかげで、諸外国の輸入塩や国内他メーカーの塩と競い合える塩を作ることができたと自負しています。
一方、この素晴らしい深層水をもっと活かしたいと考え、塩造りだけでなく、飲料水などその後の様々な商品作りも進めていきました。
お客様のニーズをよく聞き、安全性や有効性にこだわった商品づくりを進めています。そのために、高知県の研究機関や高知大学に指導していただきデータに基づいた商品開発を行っています。
海洋深層水を使った商品づくりについては、安全性や有効性の面で、まさに深層水の持つ清浄性やミネラルに着目して進めてきたとも言えます。
実際に、商品を製造している室戸の深層水事業所では、ISO2200を取得して安全な商品づくりを進めています。
海洋深層水のミネラルを使った飲料を飲用すると、腸内環境に好影響を及ぼすという高知大学グループの研究結果があります。
また、同じ海水でも、表層海水のミネラルよりも海洋深層水のミネラルを使った飲料を飲用する方がより効果があるという研究結果もあります。
様々な分野の研究成果を見る度に、海洋深層水は『多くの可能性を持つ再生可能な資源』であると改めて日々感じています。
当社は、「新しい海洋文化」の創造を通じ、広く社会に貢献することを企業活動の核としています。
商品開発においては、主力の塩、にがり、飲料分野に加え、新たにサツキマス、スジアオノリの陸上養殖に取り組んでいます。まだ明らかになっていない海洋深層水の機能解明を続け、新たな商品を開発したいと考えています。
また、本社のある赤穂市の伊和都比売(いわつひめ)神社の境内で、2022年から「AMAMI TERRACE(アマミテラス)」というカフェをオープンしました。美しい海の景色が広がるフォトジェニックなスポットで、当社が手掛ける海の食材を使ったランチやスイーツを提供しています。このAMAMI TERRACEは、お客様と直接のコミュニケーションを図る場として、深層水飲料の飲み比べ、深層水塩の味比べなど、海洋深層水のPRも積極的に行っています。私自身も毎月店頭に立つのですが、やはりお客様との会話で気づかされることは多く、接客をとても楽しみにしています。
2023年には、天日塩製造施設である「天のハウス(あまのはうす)」も開設もしました。観光工場として、多くの方に塩の魅力の発信をしていくことを目指しています。
このように、「新しい海洋文化」の創造の一環として、当社では新しい取組みを続けていきます。そして室戸海洋深層水という資源が、当社の企業活動を支えてくれていると感じています。
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土佐鶴酒造株式会社
1990年代半ば、室戸岬沖で海洋深層水の取水が始まることを知り、酒造りへ活用できないか研究するために試験分水していただいたのが最初の出会いです。
当社は、昔も今も変わらず「品質第一、誇れる品質の酒を世に出せ」を社是に、日々、酒造りに邁進しております。二百五十年以上に渡る酒造りの中で、平成の世に海洋深層水というミネラルバランスに優れた水と出会えたことは大きな喜びであり、その特徴を活かした酒造りを大切に守り育てて参りたいと思います。
海洋深層水商品をプロモーションしていく上で、海洋深層水に対するお客様の印象はとても重要です。しかし、現在のところ「海洋深層水とは何か」「どのような特長があるのか」を知る方はまだまだ少ないため、もっと多くの方に海洋深層水の素晴らしさを知って頂く必要があると感じています。
室戸海洋深層水から誕生した「吟醸酒アジュール」は日本国内だけでなく、アメリカをはじめ世界10ヶ国以上に輸出され、海外の皆様にもご愛飲いただいております。
世界三大日本酒コンクールのひとつと言われる全米日本酒歓評会では、最も品質が優れた日本酒1品に与えられる最高位グランプリを受賞いたしました。
今後とも、多くの世界のみなさまに吟醸酒アジュールの美味しさを、そして日本酒の素晴らしさを知って頂けるよう精進していく所存です。
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渋谷食品株式会社
1996年、ちょうど高知県としても室戸海洋深層水の振興を図ろうとしていた頃だと聞いていますが、当時、高知工場の工場長を務めていた方が「芋けんぴの新しい素材として(海洋深層水を)使えないか」と興味を持ち、試作を開始したのがきっかけです。
今でこそ当社も様々な素材を使った商品がありますが、当時はまだ種類も少なかったですから、試作段階で従来の芋けんぴの「甘い」から「甘塩っぱい」という新しい感覚に出会った時に、手応えを感じたんですね。
しかし、商品として量産化するのは簡単ではありません。
実は芋けんぴの製造では、原料であるさつま芋を揚げて糖蜜をくぐらせた後、当社独自の乾燥機にかけるんです。しかし、熱を加える処理をするため、一定味が薄れてしまうので、細かい配合が必要なんですね。味が濃過ぎて芋の風味を損なわないようバランスを調整したり、芋のカット面をアレンジしたり…、試行錯誤を重ねてやっと商品化に成功したのは2000年のことでした。
このように、芋けんぴの自然で素朴な味と風味は、繊細な努力から生み出されているんです。
「原料づくりからこだわる」が当社のDNAとも言えるモノづくりへの姿勢です。
九州にあるグループ会社で農業法人取得をしている会社で、土作りや苗づくりを行っており、当社が使うさつま芋は、当社が提供した苗から育ててくれている農家さんや自社の畑で採れたさつま芋を使っています。
芋の種類は「黄金千貫」といい、九州南部で主に焼酎に使われる品種で、さつま芋の中でも大きく白いのが特徴です。また、収穫して時間が経つと糖化することから、収穫から加工(カットして揚げる)までを2日以内に行うことを鉄則にしています。
40年以上前から、菓子製造メーカーで一早く原料づくりの会社や体制を確保してきたことは強いこだわりですし、室戸海洋深層水も同じく原料にこだわる中で、期待をこめて使ってきた素材です。
豊富なミネラルや芋けんぴとの合性は素晴らしく、期待を上回る素晴らしい素材だと長年感じています。
2000年に発売開始した、海洋深層水を使った「塩けんぴ」は当初は売上が伸び悩んでいました。ただ、大手小売業様での取り扱いが決まってから、瞬く間にヒットし、おかげ様でロングセラー商品になりました。
当社グループの企業理念に、「お客様に喜んでいただける商品づくりを追及します」と掲げています。日夜、様々な商品づくりに励んでいますが、やはり海洋深層水を使った「塩けんぴ」はその理念を実現できる、お客様に美味しいと思っていただけるお菓子の一つだと自信を持っています。
会社全体で力を入れていこうと考えているのは、"高知ならではの素材"を活かしていくことや、”チャレンジ"すること。海洋深層水も含め新しい商品開発には、今後も積極的に挑戦していきたいと思っています。
先述のとおり、商品化は短期間で出来るものではありません。その分、皆様にお届けできる頃には、自信を持って素晴らしい商品に仕上がっていることをお約束します。
また、室戸海洋深層水に関わる企業として、この資源をもっと多くの方に魅力に感じてもらいたいと思っています。その一方で、一企業単体でその周知を図るのは難しいとも感じます。
そのため、今後も県や市、各企業でより一層協力しあって盛り上げていくことが大切ではないかと思いますし、当社も商品づくり等を通じて、貢献していければと考えています。
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有限会社ロマンド
私は何事も自分で確認したい性格で、パン作りに大切な「水」には元々、とてもこだわっていました。
実は、水の性質が季節で異なるので、パン作りはその時々の水や小麦の状態と相談しながらの繊細な作業なんです。水の成分を細かく調べるため、高知市の水道局に調べに出向いたりもしていましたね。
1995年、たまたま運転中に聴いたラジオで、室戸海洋深層水のことが流れていました。
それがきっかけで、この新しい水をパン作りに試したいと思いました。
それからは自分で動き回って水を採取し、表層海水や蒸留水、
水道水、イオン交換水、そして海洋深層水と色々な水でパンを焼きました。
その中で、釜伸び(オーブンの中でパンが膨らむこと)が最も良かったのが海洋深層水を使ったパンでした。食べてみても他の水を使ったパンとはまるで違う、とても自然で素朴な味わいに感じましたね。
予想以上の仕上がりに、「この水は、パンのための水か!」と思ったことを覚えています。
私は根拠のわからないことは好きではなく、どうしても「なぜ?」を確かめたくなるんですね(笑)。
以前、海洋深層水を使った当店の食パンと、他大手3社の食パンの味覚分析をしたことがあります。旨味や苦味、渋味や塩味といった7項目でデータをとりましたが、海洋深層水の食パンは驚くほどに、全ての項目がきれいなバランスで正七角形を描いていました。
他社様のパン(はもちろん大きく伸びている項目もありましたので)、比べてどれが美味しいかという単純な話では無いと思いますが、これほど味のバランスがとれているパンは他にないと感じましたね。
このように、自分の感覚を大切にしつつ、それを裏付ける根拠もしっかりと確かめつながら、海洋深層水にこだわってパンやお菓子作りを続けています。
ちなみに、80歳を超えた今も、室戸市まで自分で車を走らせて取水しに行っています(笑)
深層水へのこだわりのおかげか、このお店はリピーターのお客様が多いんです。当店のパンを食べて「これは美味しいね」と言ってくださることが何より嬉しいです。
当店で焼くパンやパイの生地は、全て深層水の原水を使っていて、それ以外に塩分は加えていません。結果的に、少し塩分は控えめかもしれませんが、色々加えるとかえって素朴さが損なわれる可能性もあります。深層水で十分美味しく焼き上がっていますし、それを気に入ってくださっているお客様のご来店が喜びです。
創業50年以上になりますが、毎年のように記念に手作りのかわいいオブジェをくださるお客様もいて、応援してくれている方の存在を励みに、私もまだまだ元気にパンを焼くつもりです。
小学生の時、父に連れられて行って以来、折に触れて室戸とは縁を感じてきましたし、海洋深層水ともご縁があって、こうして商品づくりを続けてこられたと思っています。
いずれはお店を娘に任せていくことも意識していますが、海洋深層水にこだわった商品づくりは今後も続けてほしいと思っています。
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株式会社タケナカ
1999年12月、タケナカ段ボールの社員として、県外で研修中だったところ、父(現タケナカグループ会長)から突然こんな連絡がありました。「ダイドードリンコさんと深層水商品を一緒に作っていくことになった」
元々研修は3年の契約でしたが、その時点ではまだ一年程度。しかし父から「残り2年の研修を半年に縮めて帰らせてもらいなさい」と言われ、急展開で慌ただしく高知に帰ってきた記憶があります。
海洋深層水そのものは、地元の農協で商品が作られていたので知っていましたが、自分が深く関わることになったのは、この父とダイドードリンコ社長との運命的な出会いからですね。
大手企業と新しい事業にチャレンジできる、そんな「ワクワク感」が強かったことを今でもはっきりと覚えています。
タケナカグループの一員として、私も2000年から"Dydo miu"の商品化に関わることになります。
"miu"には、初代商品当時から室戸海洋深層水の原水を入れていて、化学添加物を一切使わずにネラルバランスがとれている素晴らしい商品です。実は商品名も"umi(海)"から連想したもの。まさに海の水を使った商品にふさわしいネーミングでスタートしましたね。
当時は海洋深層水もブームを迎えようとしていた時期でもあり、おかげさまで初代"miu"は大ヒット、当社グループとダイドードリンコ様との関係は現在にも続くこととなります。
しかし、全国規模で商品展開をされている大手企業との商品開発を続けることは、決して簡単なことではありません。頻繁に商品はリニューアルされる訳ですし、海洋深層水を原材料として使い続けていただくためには、周囲には知られていない努力や交渉もしてきたつもりです。
その甲斐あってか、海洋深層水の含有量を減らすことなくmiuの製造も続いてきました。
「海洋深層水なくしての商品開発はあり得ない」。当社グループは強いこだわりと、ダイドードリンコ様の共感を得て、海洋深層水を世に送り出してきたと自負しています。
海洋深層水を扱う中で、ステークホルダーへの貢献について日々意識しています。
ダイドードリンコ様と事業を供にするとなって、会社を室戸市に設立でき(*ダイドー・タケナカビバレッジ)、地元室戸での雇用をさせていただきましたし、それを機にお付き合いの始まった運送会社様、資材などの発注先様、様々な関係者様が"安定した仕事"と明るく受け止めてくださっていることを今でも嬉しく思っています。
海洋深層水と出会い、ステークホルダーの皆様と一緒に歩んできたと思っています。
また、"消費者の方々へいいものを届けたい"という思いで立ち上げた、自社ブランドの商品についても日々研究開発を続けています。面白いことに研究を続けるほど、様々な健康効果への期待が発見されており、海洋深層水の可能性に私自身が魅せられています。
Dydoブランドの商品作りだけで留まるのではなく、自社としても海洋深層水の可能性を日々追いかけています。
高知海洋深層水企業クラブの会長も務めさせていただくことになってから、会員企業の皆様に貢献するためにも、より産業全体について考えることが多くなりました。
ですので、今後を語る前に、今一度、室戸海洋深層水の産業のこれまでを振り返りたいと思います。
1989年_日本初の海洋深層水の取水地となり、1996年_食品への転用に成功したのは世界初、以降も日本の海洋深層水のパイオニアとして様々な分野で商品が生まれましたし、高知県の重要な資源として、行政からも多くの施策を展開していただきました。
その歴史の中では順風満帆なことだけではなく、ブームの終焉、深層水から撤退する企業、コロナ禍での打撃などもありました。
しかし、室戸海洋深層水に関わる全ての企業や団体の努力があって、今なお室戸海洋深層水産業は止まることなく続いてきました。
今後も深層水産業の発展は「続く」と確信していますし、私自身が率先して、深層水の価値を伝えること、深層水の可能性を追いかけることを「続けて」いきたいと思います。
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ダイドー・タケナカビバレッジ株式会社
父(現会長)とダイドードリンコさんとの運命的な出会いがあり(笑)、皆さんご存知の"Dydo miu"が誕生を迎える訳ですが、当時自分はまだ大学生でした。
それまで、卒業後の進路は漠然としていましたが、これを機に高知に帰って家業(自社)を継ぐことを改めて考えましたね。
とはいえ、突然大きな話が決まった印象もあり、当時を振り返ると(良い意味での)困惑や驚き、同時に大手企業とビジネスができるチャンスに期待を膨らませる自分がいたように思います。
海洋深層水そのものは、地元の農協で商品が作られていたこともあり、もちろん知っていました。
2002年にダイドー・タケナカビバレッジ(DTB)に入社してまもなく自社工場が竣工し、品質管理の部署に配属されたのですが、その時から海洋深層水と日々向き合うことになりましたね。
この資源を大切にし、品質管理にはよりいっそう気を配ろうという気持ちで毎日現場へ臨んでいた記憶があります。
室戸海洋深層水を、ダイドードリンコさんの商品に使い続けていただいていることにまずは感謝しています。地方から全国規模へ、この海洋深層水を押し上げていってくれたと思っています。
一方、これまで海洋深層水がダイドー商品に、当たり前のように採用され続けてきたわけではありません。
企業として商品作りを進める上では当然、原価検討などでシビアに見られる局面はありました。しかし深層水を使ってもらうことは譲れない部分ですから、粘り強く、その時々の担当の方に深層水の価値を理解いただき、採用を続けていただきました。
ダイドードリンコさんと当社、双方の努力と深層水への理解があって、続けてこられたと思っています。
市場環境がめまぐるしく変わる中で、ダイドー商品だけでなく、自社の深層水商品も増やしていけたらと感じています。
しかし、自社の主力商品は一朝一夕にはできません。特に、販売していく中で、どうしても商品の表示に関するルール上、(時間と労力をかけた)研究成果等をストレートに伝えられないもどかしさを感じることもあります。
一方、商品を愛飲されている多くの方から、様々な健康面での改善のお声が聞こえてきていて、その度に深層水の価値を改めて信じるようになりました。
深層水の価値を自社商品でどう訴求していくか、しっかりと考えていきたいです。
自分は入社以来、この工場と共に歩んできましたし、室戸市に工場があることは自社のアイデンティティといえるでしょう。
ダイドーさんとの新商品開発においても、室戸で製造することに意義を感じていますし、深層水の採用はもちろん続けてほしい。同時に深層水の可能性を信じているからこそ、自社商品の研究開発も積極的に続け、エビデンスをしっかり確保し、それを付加価値として発信していきたい、と考えています。
室戸市の誇る資源で、消費者の方に健康増進につなげてもらう、笑顔になってもらう…そういった気持ちでモノ作りを続けます。それが私達のような地域に根ざした会社の役割と考えています。
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株式会社タナカショク
1996年、「ミネラル豊富な水」が室戸沖に湧き上がっているという噂を聞きました。
私達豆腐屋にとっては水は命。いても立ってもいられず、翌日すぐに高知市から室戸市の高知県海洋深層水研究所へ車を飛ばしたのが始まりでした。
深層水と表層水との違いで特に感銘を受けたのは、微生物や殺菌の繁殖が無い清浄性。
食品に添加して利用する私達にとっては、大切なポイントでした。
そして、海洋深層水を加えて試しに作った豆腐を一口食べた時、その甘さとおいしさに衝撃を受けました。
試作品第1号なので、正直言うと深層水の分量も適当でしたが…この最初の衝撃が、私にとって深層水の原点であり、その後の創作意欲をかき立ててくれたと言っても過言ではないでしょう。
試作品の衝撃から、本格的に商品化へ移ります。しかし、元々豆腐は同じ材料で同じように作っても毎日少しずつ味や風味が変わる繊細な食べ物です。当然、深層水を使った際も品質の安定は一筋縄ではありませんでした。
しかし、妥協せずに調整を続けた結果、最初の試作から半年近くたった97年に、遂に深層水豆腐の商品化に成功しました。
当時を振り返れば、最初の試作品の衝撃を再現したい、と試行錯誤を繰り返していたように思います。現在は商品ラインナップも増えましたが、今なお"原点"を追い求めて妥協しない商品作りを続けています。
おかげさまで深層水豆腐は毎日たくさんの量を出荷でき、多くの県民の方に食べていただいています。
直接感想をご連絡いただけることもありますが、長く商品作りを継続してこれた事実が、県民の方に信頼されてきた証と受け止め、励みにしています。
同時に、私達の商品を支える「海洋深層水」を大切に扱っていきたいという思いも強くなっています。
商品として海洋深層水を扱う以上は、しっかり安全性に配慮し、私達も含め全ての事業者さんに品質管理を徹底してほしいと願います。
室戸海洋深層水マークが真にブランドとしての価値を持つこと、また産業の発展を望むからこそ、品質管理を私達は大切に感じています。
室戸海洋深層水とは長い付き合いになり、深層水を使うことは私達にとって切っても切れない関係になりました。これからも深層水と共に、魅力的な商品開発を進めていきます。
また、産業全体に目を向けると…
日本各地で海洋深層水は取水されるようになりましたが、そのルーツは日本初の取水地である"室戸市"だと思っています。
そのため、室戸海洋深層水が日本の深層水のパイオニアとして、さらに多方面へ産業が拡がっていくことを期待します。
一方で、現時点では商品としての流通はまだローカルに留まっているようにも感じます。
今後は、室戸海洋深層水単体で価値を発信するのではなく、オール高知で他の産業との垣根を越えるような連携が進めばと思いますし、私達も何かの形で貢献できれば嬉しいです。